モックン(本木雅弘)のテレビドラマ「運命の人」が面白い。
普段全くテレビドラマは見ないが、これは初回から観ている。
何が良いってモックンがカッコイイ。何がカッコイイって彼が扮する新聞記者・弓成亮太の仕事に対する情熱・姿勢がモーレツで良い。仕事に全力で立ち向かう姿は同性としてもカッコよく見えるし、自分もそんな情熱をもって仕事に向かっていきたいと思う。兎に角、自信満々で自分の使命ややるべきことの軸がしっかりしている。一新聞記者なのに何故か彼だけビシッとしたスーツで極めてるし、自宅もえらくゴージャスだ。こりゃモテる男だ。

ただちっと気になっていたのが彼の自信過剰気味な言動。
これが凶となって出たのが先週の放送だった。やっぱり予想通りだ。
モックンは政府のある密約を暴こうとして、外務省の極秘電信文を外務省事務官の女性から手に入れることが出来たものの情報源を守るため紙面に掲載できない。苦肉の策としてモックンはこの文書を議員の一人に渡しこの議員が国会で総理へ問い詰めることになるんだけど、この青二才の若手議員は一向に密約の存在を認めない総理に業を煮やし、うっかり電信文を衆目に晒してしまう。
ここからがモックンのプロフェッショナルとして、そして男としての見せどころだったんだけど、結果としては事務官の女性は情報源が暴かれることの恐怖とプレッシャーによって自分から情報を漏らしたことをバラしてしまう。(彼女にしてみれば好意を持っていたからこそ情報を渡したモックンに裏切られたって感じだ)
さて、自分に対する過剰な自信によって犯したモックンのミスとはなにか?
1.周りの人間を自分と同じ基準で見ており、能力・器量・目的達成に対する執念・プレッシャー許容度を違いをしっかり理解しそのレベルにあった接し方をしていないこと
2.自分の味方に対して常に相手の立場に立ち、適切なフォローアップや気遣いを提供していないこと
この2点に尽きると思う。
1については、簡単に言えば、「周りの人間は自分(モックン)ほど”出来るやつ”ではない」という当たり前の認識が彼には欠如していたということになる。これは会社組織でも同じこと。物凄いキレる上司は自分が簡単に出来るものだから能無しの部下にも同じことをさも当たり前に簡単に出来ると思いこむ。でも実際は人間には能力や経験の差があり出来ない人間にはできない。過度なプレッシャーを受け、耐えられる人とそうでない人がいる。今回の情報源がばれてしまうという危機を事務官というアシスタントレベルの彼女は耐えることができなかった。そこの人間の許容量を見抜けなかったモックンの甘さは彼自身のプロフェッショナルとしての未熟さにつながる。
2については、1にも繋がる話だが、今回情報源がバレルかもしれないということが分かってからモックンは一度も事務官の女性に連絡を取っていない。彼にしてみれば自分のことで精いっぱいだったかもしれないが、一番守るべき情報源である彼女が抱えている押し潰されそうなほどの不安や恐怖を察し、モックンから連絡を取り、今後の対応を説明し、心配を払拭してあげることをしなかった。だから彼女はその不安から一時も早く解放されたいために自分から白状してしまい、それは結果として彼女のみならずモックン自身をも更なる窮地へ貶めることになったのだ。これもサラリーマンの組織ではほんとによくあることだよね。(別に不正がよくあるということではなく、適切なフォローや気遣いを怠ることによりビジネスがあらぬ方向に進むということです。為念)
山崎豊子の描く物語の面白さはこの辺にあって、物語のディテールがテレビや彼女の小説を読んでいる一般大衆の日常生活にガッチリと入り込んでいる。
今回の事件をビジネスマンの社会で言うと、組織の末端の人間に足元をすくわれて失敗する事例であり、だからこそ例えばアシスタントの従業員にも細心の気遣いと敬意を持って接する必要がある、という一つの教訓である。
こういうケースで酷い目に逢うことは本当に企業社会でよくあるし、何を隠そう俺にもそういう経験が過去にある。だからこそ、モックンを見ていてこいつはちょっと危ないな、痛い目に会うなと直観的に感じた。
たかがドラマだがこうやって見ると学べる部分は少なくない。
明日の放送が楽しみだ。